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登記・供託オンライン申請システム及びその運用の改善を求める会長声明を発出いたしました。

2024.05.17

登記・供託オンライン申請システム及びその運用の改善を求める会長声明

 全国青年司法書士協議会
会長 坂 田 亮 平

 

令和6年3月25日及び29日に発生した、法務省の登記・供託オンライン申請システム障害について、当協議会は市民の権利擁護に係る重大な問題ととらえ、市民への周知と安定したシステムの実現を強く求める。

1 システム障害の発生及び法務省の対応
(1)令和6年3月25日8時30分頃から、法務省の登記・供託オンライン申請システムに不具合が発生し、オンライン登記情報検索サービスに接続できない事象が発生した。オンライン申請の受付時間は17時15分までのところ、この事象が解消したのは、16時45分であった。
(2)同月29日14時頃、同システムに再び不具合が発生し、申請用総合ソフトにログインできない事象等が発生し、システムの利用ができない状況が続いた。そのため、特例的対応が行われ、窓口受付(書面)は20時、オンライン受付は21時まで延長された。また、延長時間中にされた申請の一部は、29日に登記を申請したにもかかわらず、受付日が翌開庁日の4月1日の受付扱いとなったため、後日、修正作業がなされることとなった。

2 登記の役割と障害発生時の司法書士の対応
 登記にはさまざまな役割があるが、例を挙げると、不動産登記では、登記を備えることで第三者に権利を主張できるとされていることから、二重売買や差押えなどのリスクを避けるために当事者は速やかに登記を申請する必要がある。また、商業登記では、会社の信用維持のために速やかに登記を申請する必要がある。
 司法書士は登記の専門家であり、市民の権利を守るため、登記を正確かつ速やかに行うよう努力している。今回の障害発生時には、予定日に登記の受付がされるよう、オンライン申請から書面申請に切り替え法務局に申請書類を持参する、あるいは、遠方で持参も間に合わない場合にはシステム障害が解消されるまで待機するなど、各司法書士はできうる限りの緊急の対応を行った。

3 障害への評価・問題点の分析 
 今回の障害発生日は、年度末で不動産登記をはじめ登記申請が数多く申請される日であり、その影響は甚大であり、登記・供託オンライン申請システムひいては登記制度に対する不信感に繋がりかねないものであった。今後、安定的なシステムの構築は急務であるが、一方で、強固なシステムを構築したとしても、障害発生を完全に防ぐことは難しく、オンライン申請の代替手段の確保は必須である。安定的に申請を行えるよう代替手段の改善と予めの周知徹底が求められる。
 また、法務省は今回の障害の発生原因や今後の対策についてホームページ等での十分な一般公表はしておらず、メディアでも障害についての報道はほとんどされなかった。そのため、市民の権利が危険な状況にさらされたにも関わらず、世間一般にはほとんど認識されない結果となった。

4 当協議会の考え 
 当協議会としては、法務省は今回のシステム障害の原因究明を行い、その内容を司法書士業界のみでなく、広く市民に周知する必要があると考える。その上で、市民の権利を保全する重要なインフラである登記・供託オンライン申請システムを、不具合のない安定したシステムに早急に改修すること、そして代替手段も含めて適切に運用していくことを求める。
 当協議会においてもそのための具体的制度提言などを行い、登記・供託オンライン申請システムおよび登記制度の更なる改善に貢献していく所存である。