'19-05-27 「個人情報保護法いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」に関する意見書
   「個人情報保護法いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」に関する意見書




2019年5月27日

全国青年司法書士協議会
会長 半田久之

 
「個人情報保護法いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」について、以下の通り意見を述べる。

1 56頁 第7節 その他の論点について 
 個人情報保護法上、破産手続の開始決定等を受けたという破産者等の個人情報は、オプトアウト規
定(個人情報保護法第23条2項)による個人情報保護委員会への届出を行い、一定の要件を満たせば、本人の同意なく第三者へ提供することが可能となっている(平成31年4月26日衆議院法務委員会での松平浩一議員の質疑において、個人情報保護委員会の福浦事務局次長よりその旨回答がされている)。
 しかし、過去に破産手続の開始決定等を受けたという破産者等の個人情報が、破産者等の経済的信用に関する重大な情報であることを考えると、その取扱いには慎重な配慮がなされる必要がある。そうすると、同情報は、本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するべき情報としてオプトアウト規定の適用から除外されている「要配慮個人情報」(同法第2条3項)に含まれなければならない。
 先般、「破産者マップ」と称するWEBサイトが公開されていることが大きな問題となったことは貴委員会にとっても記憶に新しいところであると思われるが、あのようなサイトが、一定の目的を持って、届出さえすれば、インターネット上で第三者へ情報提供を行うことが適法となってしまうことは、制度上の不備と言える。
 本中間整理においては検討事項として取り上げられていないものであるが、何が「要配慮個人情報」に該当するかについては政令により定められているものであり、法改正による必要もないことから、早急に検討し、すみやかに改正されるべきである。

2 56頁 第7節 その他の論点について
 個人情報保護法は、主に、個人情報を含む情報の集合物(データベース)を事業の用に供している「個人情報取扱事業者」に対して一定の義務等を定めた法律であり、ガイドライン上反復継続性が認められれば非営利であったとしても事業者性は認められるとされているものの、事業者性の認定において課題があるという現状がある。
 平成31年4月17日衆議院法務委員会において、松平浩一議員による破産者マップ事件に関する質疑に対し、山下貴司法務大臣は、「破産法に基づき公表された個人の情報に関して、その情報を取得した者がこれをどのように扱うべきかについては、個人情報保護法の規律による」との答弁がされた。しかしながら、事業者性の認定に関して疑義が生じるようなケースにおいて個人情報保護法の規律による対応ができないとすれば、非事業者とされた者によって個人情報を第三者へ公開され、損害を被った者は、どのようにして被害の拡大を防ぐのかが問題となる。また、一般的な事業者であっても、データベースを用いずに反復継続的に個人データを第三者へ提供している者が、個人情報取扱事業者には含まれず個人情報保護法の適用を受けないとされていることは著しくバランスを欠いている。
 この点、現状では、非事業者に対する責任追及は、一般法である民法や刑法等の規定によって対応する
ことになろうが、それで個人情報の保護が図れるとは到底考えられない。インターネット等の発達により、個人情報の保護の必要性は高まり、また、事業者以外の者が容易に他人の個人情報を取得し、利用することが可能となった今、個人情報保護法の適用対象を再検討し、これまででは考えられなかったプライバシーの侵害等に対応できるような時代にあった法改正を早急に行う必要がある。具体的には、データベースを用いらずとも、コンピューターや各種媒体を通じて個人データを継続的に第三者に提供する者等について、「みなし事業者」として個人情報保護法の規律を適用できるような方策を検討すべきである。


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