養育費制度改善に関する意見書
2021年2月22日
全国青年司法書士協議会
会長 川上真吾
令和2年12月24日、「養育費不払い解消に向けた検討会議・取りまとめ」が同会議より法務大臣に提出された。また、令和3年2月、法務大臣は父母の離婚に伴う子の養育のあり方に関する法制度の見直しを法制審議会に諮問した。今後、養育費不払い問題につき、政府における検討が予想されるところ、当協議会の養育費の不払い問題解消に向けた意見を次の通り述べる。
第1 意見の趣旨
1、養育費の不払い解消施策を検討するに際しては、養育費の不払い解消をもって、ひとり親世帯の貧困対策に代替することのないよう、不払い解消の検討とともに、ひとり親世帯の貧困対策施策の充実を図るべきである。
2、離婚時における養育費の取り決めにつき立法をもって義務化し、かつ、当事者以外の第三者が関与する方式においての取り決めを義務化するべきである。取り決めにあたっては、子の福祉に配慮し、かつ、当事者双方の納得感ある合意形成を制度的に担保するべきである。
3、養育費の履行確保に際し、①国による強制徴収制度の導入 ②国による立替払い制度の導入をすべきである。
4、子どもの健全な成長に資するための施策としては、養育費不払い解消という金銭面のみの施策では不十分である。自己肯定感、情緒面を育み、子どものアイデンティティを確立するため、子どもの権利としての面会交流の機会確保を推進することが肝要であり、面会交流に関する実効性のある施策の導入も同時並行で議論すべきである。
5、上記施策の実現のため、全国各地の司法、行政、福祉、法律職能が連携してその対応にあたるための連携体制の構築と、改善プログラムの策定を行うべきである。
6、施策の検討にあたっては、「子どもの視点、子どもの利益」に立脚すべきであり、他の視点、他の利益に優先すべき最も重要な点であることを検討の前提とすべきである。
第2 意見の理由
1 当事者の声
2 ひとり親世帯の貧困対策の観点から
3 養育費の取り決め改善について
(1)取決めの義務化
(2)取り決め義務化の具体的な内容
(3)親支援プログラムの推進
(4)その他
ア、児童扶養手当の制度改善
イ、養育費の自動計算ツールの導入について
ウ、養育費算定表の改善および見直しの制度化の必要性
エ、当面の措置としての、公証役場と専門家相談の連携
オ、子どもの意見表明権や相談機会の確保、法教育実施
カ、事情変更の要件緩和
4、養育費の履行確保制度について
(1)国による強制徴収制度(公債権型)の導入を求める
ア、公債権型の実現を求める。
イ、公債権型のメリット・デメリット
(2)国による公的な養育費立替払い制度の導入を求める
(3)強制的な徴収手続き前の義務者相談支援の重要性
(4)その他
5、面会交流施策推進の必要性
6、連携体制の構築と、改善プログラムの策定の必要性
7、子の視点、子の利益に立脚すべき