意見書・声明文
- 2010年05月27日
- 貸金業者向けの総合的な監督指針の一部改正案等の意見書
金融庁監督局総務課金融会社室 御中
私たち全国青年司法書士協議会は、全国の青年司法書士約3,100名で構成され、市民の権利擁護及び法制度の発展に努め、もって社会正義の実現に寄与することを目的とする団体である。
日頃より多重債務問題の抜本的解決に取り組み、多重債務被害の撲滅を目指して被害者救済活動をしている立場から、平成22年4月27日に公表された「貸金業者向けの総合的な監督指針」の一部改正(案)(以下、「監督指針案」という。)及び事務ガイドラインについて、次のとおり意見を提出する。
1.Ⅱ-2-10 契約に係る説明態勢
■ 趣 旨 ■(1)②a(ⅱ)
資金需要者が再勧誘を希望しない期間を少なくとも概ね3ケ月間であると推定することは妥当でなく、再勧誘を希望しない期間が確認できない場合は、再勧誘はできないものとすべきである。
■ 理 由 ■
一般的に営利を目的とする企業における対象者が限定された営業や勧誘は、売上げに直結するものであるとして積極的に行われるものである。貸金業界においても、その例外ではなく、完済者や返済の滞りのない優良顧客への集中的な再勧誘はビジネスモデルの一つであり、その結果として多くの多重債務者が生み出されることにつながったことは周知の事実である。よって、再勧誘は顧客からの希望がある場合のみにとどめられるべきである。
2.Ⅱ-2-10 契約に係る説明態勢
■ 趣 旨 ■(1)②b(ⅱ)
保証人となろうとする者が、十分な時間的余裕を持ってあらかじめ保証契約の内容及びこれに伴う危険性について理解するために、少なくとも保証契約の説明終了時と保証契約締結までの期間を最低24時間以上設けることを明示すべきである。
また、いわゆる「おまとめローン」を目的とする契約を締結しようとする場合は、「資金需要者等に対し、完全施行前の法第43条第1項のみなし弁済の適用に関する説明を行うとともに、必要に応じ、貸金業協会や消費生活センターなど適切な相談窓口を紹介しているか」との監督指針があるが、「完全施行前の法第43条第1項のみなし弁済の適用に関しては説明だけでは足りず、新たに貸付を行う貸金業者が、債務者の借入残高に関し、利息制限法を遵守した金利への引き直し計算が正確に行われたことの確認をしたか」、また「一括返済の申出を受けた貸金業者が、利息制限法を遵守した金利への引き直し計算を行った借入残高を債務者に伝えているか」につき、貴庁は厳格に監督すべきである。
そして、適切な相談窓口への紹介に関しては、「単に相談窓口を紹介するだけでは足りず、社内規則等において具体的に整備し、そのための社内体制が講じられているか」を監督し、適切な相談窓口で適切な助言を受けたかどうかも確認をすべきである。
■ 理 由 ■
保証契約締結の場において、早期の契約締結を債権者や主債務者より催促される状況が想定される。そのため、保証契約を締結するにあたっての熟考をするための時間を確保することが望まれる。
また、貸金業法12条の9にて、貸金業者の相談及び助言規定が設けられているが、相談及び助言は適時・適切に行われなければ資金需要者等が直面している多重債務問題の解決に繋がらず、無意味な規定となってしまいかねない。そのためにも、貸金業者に相談窓口紹介体制を整備させ、それを監督・指導していくことが望まれるからである。
3.Ⅱ-2-10 契約に係る説明態勢
■ 趣 旨 ■(1)②イc取引関係の見直し時等(ⅰ)
「法第17条第1項から第5項に規定する『重要なものとして内閣府令で定めるもの』に変更する場合その他債務者等にとって不利となる契約の見直しを行う場合『契約の変更箇所』について説明を行うとともに」との記載がされているが、「契約の変更箇所及び債務者等にとって不利となる箇所について」とし、契約の変更箇所及び債務者等にとって不利となる箇所については書面において説明を行うべきである。そして、債務者等にとって不利となる箇所について、いわゆる「おまとめローン」、借換えにおいて、従前の債務が利息制限法制限利率を超過している取引である場合、債務者等にとって不利となる場合があるとの例示を記載すべきである。
■ 理 由 ■
契約の変更箇所のみならず、どの箇所が債務者等にとって不利となる契約か説明がなければ、債務者等の理解と納得は得られないからである。また、「契約の変更箇所及び債務者等にとって不利となる箇所」は契約見直しにおける重要事項であるから書面に明示した上で説明すべきであり、従前の債務が利息制限法制限利率を超過している取引である場合、債務者等にとって不利となる場合があるのは明らかであるのでその例を記載し、不利となる契約に該当することを認識させるべきだからである。
4.Ⅱ-2-11 利息、保証料等に係る制限等
■ 趣 旨 ■(1)②
法令等を踏まえた利息、保証料等の制限等に係る実施態勢の構築の留意点に関して、「おまとめローン」や「借換」は従前の債務について、利息制限法制限利率に引き直した旧債務を目的としているかを追加する。
■ 理 由 ■
従前の債務について、利息制限法制限利率を超過した旧債務を目的としていた場合、実質は、利息制限法に規定する金額を超える利息の契約締結や受領、又はその支払いとなり、法12条の6に違反するからである。
5.Ⅱ-2-12-1 返済能力調査
■ 趣 旨 ■(1)①ロb(ⅲ)
「物的担保を徴求する場合には、主債務者の属性、事業計画、当該貸付けの返済計画の条件等にかんがみて、当該担保物件を換価しなくても返済しうるか否かを確認しているか。また、担保権が実行され、当該担保物件を失うこととなった場合の物的担保提供者の具体的な認識を確認しているか」との記載に「担保価値の下落等により貸付額が担保価値を上回った場合、債務者は担保物件の換価のみでは返済ができなくなることを認識しているか」を追加すべきである。
■ 理 由 ■
物的担保を徴求する貸付が、極度方式基本契約に基づく貸付契約や、貸付日から弁済期までの期間が長期に設定されている貸付契約の場合、貸付時の返済能力調査だけでは足りず、返済期間中においても不動産価格の範囲内の貸付額であることが求められるため、予測できない担保価値の下落等により貸付額が担保価値を上回った場合、債務者は想定外の負担を被ることになるからである。
6.Ⅱ-2-12-2 貸付審査
■ 趣 旨 ■(1)①ロb
「貸付基準に則り、貸付審査を的確に実施する態勢が整備されているか。検証に当たっては、例えば以下の点に留意する。」の例示に「物的担保を徴求する貸付においては、与信管理の観点から、不動産価格の変動の可能性等も踏まえつつ、個別具体的に貸付が可能な金額について判断する。」旨も追加すべきである。
■ 理 由 ■
物的担保を徴求する貸付が、極度方式基本契約に基づく貸付契約や、貸付日から弁済期までの期間が長期に設定されている貸付契約の場合、返済期間中においても不動産価格の範囲内の貸付額であることが求められるため、将来の担保価値の下落等の可能性も考慮に入れて個別具体的に貸付が可能な金額について判断するべきだからである。
7.Ⅲ-1-1 無登録業者への対応
■ 趣 旨 ■(2)③
廃業後、貸付を業として行っているのではないとして、出資法5条2項の金利を潜脱する者が増えると想定される。よって、このような者に対しても、実態把握に努め、警察当局・都道府県・協会等と密接な連携の下、適切な対応を行うものとする旨を新設すべきである。
■ 理 由 ■
日賦貸金業者等が廃業後も、貸付を行っている事例が散見される。貸付を業として行っているのではく、従前の顧客に依頼されたので、個人的に貸付をしたのであって、業として貸付を行ったものではないとの主張がされることから、このような者に対しても、実態把握に努め、警察当局・都道府県・協会等と密接な連携の下、適切な対応を行うべき態勢を整えるべきである。






