意見書・声明文
- 2009年12月07日
- 緊急会長宣言(脱税・二次被害等の報道に対する緊急宣言)
平成21年10月18日、マスコミ各社により、一部の認定司法書士や弁護士による過払金返還請求の報酬隠しに関する報道がなされた。
また、多額の債務を抱え生活が困窮しているのにもかかわらず、依頼した弁護士や、司法書士が、適切な手続きを取らなかったことによる債務整理二次被害が増大しているとの報道もなされている。
私たち青年司法書士はこれまで、法的紛争の予防及び解決並びに権利救済のため、関係機関と連携し多重債務問題や消費者問題に積極的に取り組んできた。
市民の権利救済の観点から多重債務問題の解決は司法書士に課された重大な使命であるとの認識のもと、私たちは、破産・民事再生の申立書類作成、簡裁訴訟代理権に基づく特定調停・過払金返還請求訴訟、あるいは示談交渉権に基づく任意整理などを職務とし、様々な多重債務者問題の解決に努力してきた。
また、全国各地の単位会においては、多重債務者に対する無料相談会を実施し、破産・民事再生等の法的手続による多重債務解決の道筋を示すほか、高校等の教育施設へ講師派遣を行い、社会に巣立つ直前の高校生に対する消費者教育の中で、消費者金融及びクレジットに関する基礎知識と多重債務に陥った場合の基本的な法的対処方法についての講義を行うなど、手続的事後救済のみならず、事前予防の活動に取り組んできた。
そして、多重債務の問題は、借金苦による自殺・離婚・DVという悲惨な事件を誘発し、刑事犯罪件数の増加にも少なからず影響を与えていることからも、早急に解決しなければならない国家的課題であるとの共通認識のもと、関連組織や一般市民も含む多数の方々と出資法の金利引き下げ、貸金業法の改正等を求める運動を行い、その結果、平成18年には貸金業法等の改正を勝ち取った。これは紛れもなく、全国各地での街頭活動、署名活動、集会、デモ、地方議会への意見書採択の請願及び陳情活動、国会議員への要請行動等例外なき改正を求めて止まない全国各地での地道な運動の成果であった。
その後も、自殺予防対策支援、生活保護をはじめとするセーフティネットの充実や改正貸金業法の早期完全施行等を求める活動や、行政や関係機関との顔の見える連携の構築等、市民の生活再建のための努力を惜しむことなく行ってきている。
それは、私たちが、単なる借金の解決だけではなく、本人の背景にある様々な問題を解決しなければ、真の意味での生活再建がはかれないことを、現場において日々実感してきたからであり、「人が生きていく権利」を守り維持していくことが法律専門職としての本分であると感じ取ったからに他ならない。
このような報道を受け、私たちは、原点に立ち帰り、「市民の権利擁護及び法制度の発展に努め、もって社会正義の実現に寄与すること」をめざして日々努力を重ねることを今一度確認するとともに、今後も、債務整理は目的ではなく生活再建のための手段であるとの認識のもと、業務や報酬に関する説明義務や報告義務を遵守し、全ての債務の確認、借入の原因、本人及び家族の収入、資産、生活費、税金や家賃等の滞納などの生活状況を考慮したうえで最善の方法を提案し、解決に向けて最大限の努力をしていくことを確認する。
また、債務整理が生活再建を目標にした手段であることに鑑みれば、任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理の種類を問わず、手続後の依頼者との繋がりを持ち続けるとともに、任意整理の和解書締結後や個人再生における再生計画認可後の事後的支援を継続すること、当該弁済が困難となった場合には、さらに他の債務整理手続きを検討し、真の意味での生活再建をはかっていく事が最大の責務であるということを忘れてはならない。
本人との直接面談の原則は当然のこと、「生活再建」の視点で依頼者と接しながら、民事法律扶助制度の利用や住宅を残したい等の依頼の趣旨の尊重、過払金返還請求事件を受任するに際しては、債務者の他の債務の存否を正確に聴取し、合理的理由がないのにもかかわらず、他の債務の整理は行わず、過払金返還請求事件のみを受任する等の偏頗的受任を行わないことなどはもちろんのこと、近時問題となっている貸金業者の破綻における被害者救済や、経過利息・将来利息を付加する和解に固執する貸金業者との対峙、経済困窮者への生活保護申請支援や各種社会保障制度・自殺予防に関する知識の習得や行政等の関連団体との連携を推し進めることにより、債務整理における真の目的を再考する必要がある。
司法書士に与えられた使命とは何かを考え、全国の司法書士一人一人が、その社会的使命にふさわしい倫理を自覚し、自らの行動を厳しく規律しながら、市民の信頼を保持するための努力を継続しなければならない。
私たち全国青年司法書士協議会は、市民とともに歩む法律実務家として、「市民の生の声」「現場の声」を大切にし、目の前で涙する人を見たときに覚える社会の歪みに対して勇気を持って異議を唱え、小さな叫びを発する人々の苦しみに共感し、一人一人が法律家としての熱い情熱を持ち続けていかなければならない。私たちは、その目的のための活動に立ち止まることなく邁進していくことをここに宣言する。






