意見書・声明文

2009年08月28日
改正貸金業法の完全施行等を求める会長声明

 私たち全国青年司法書士協議会は、全国の青年司法書士約3,000名で構成する「市民の権利擁護及び法制度の発展に努め、もって社会正義の実現に寄与すること」を目的とする団体である。

 当協議会は、日頃より多重債務問題の抜本的解決に取組み、被害者救済活動をしている現場の法律家として、改正貸金業法の完全施行等を求めるため、以下のとおり声明を発表する。


 平成18年12月、多重債務問題の解決等を図るため、改正貸金業法が成立した。

 これを受けて政府は、多重債務者対策本部を設置し、この問題の解決を推進するため、直ちに取り組むべき具体的な施策をとりまとめた多重債務問題改善プログラムを策定した。
 
 「貸し手」対策としての、貸金業者の行為規制等を含む改正貸金業法の施行と、「借り手」対策としての多重債務問題改善プログラムの実施は、当該問題の解決への両輪としてその機能を果たしつつあり、多重債務者が減少するなどの一定の成果を収めている。
 
 ところで、改正貸金業法改正のその趣旨は、高金利・過酷な取り立て・過剰融資といった長年に渡るサラ金被害からの救済の一助となるべきものである。
 
 多重債務に陥る原因として、「収入の減少」「低収入」そして「借金の返済」が大部分を占めること(多重債務問題の現状と対応に関する調査研究・国民生活センター)から分かるように、本来、経済的困窮者へは社会保障による手当がなされなければならなかった。しかしその不備を補うかのように特例金利条項が設けられ、高金利金融による支払能力を無視した過剰ともいえる貸付、そして高額な利ざやが収受されていたことは周知の事実である。
 
 我々は、その発生を許す社会構造に対する怒り、多重債務者の損なわれた人としての尊厳への思いを我々の救済活動の原点として活動し、そして法改正に至ったものと自負しており、多重債務者の救済が後退することないよう早期に完全施行されることを強く求めるものである。
 
 しかし他方では、「先般の本改正は誤った政策判断に基づくものであり、借りられなくなった資金需要者によるヤミ金融利用が増加する、資金繰りの悪化が生じ中小零細企業の倒産を招く。」などおよそ検証の不十分な根拠をもって、完全施行の先延ばしやなお一層の規制緩和を唱える論調が見受けられる。
 
 そのような論調に対して、多重債務者の救済を決して後退させるだけではなく、多重債務者を再び増加させる恐れがあるものとして、強い危惧と懸念を抱くものである。
 
 改正貸金業法については、上記の改正に至った経緯を踏まえ、法67条に定める見直し規定において、貸金業者への規制緩和を認める方向での法の見直しを行うことなく、所謂、完全施行されなければならない。同時に、多重債務問題改善プログラムについては、多重債務者への支援が十分になされているかの観点からの実施状況の検分とその検分に基づく施策の補充が急務であると考える。相談体制の強化、社会保障体制としてのセーフティーネットの充実、ヤミ金融対策などについては更なる取組が必要である。
 
 よって、当協議会は国に対して次の施策を要望する。

 1 多重債務問題改善プログラムを努力義務から義務化
 2 地方自治体への必要予算の措置
 3 地方自治体の相談窓口における専従スタッフの配置

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