意見書・声明文

2009年06月08日
「貸金業者向けの総合的な監督指針」の一部改正(案)についての意見書

金融庁監督局総務課金融会社室 御中


 私たち全国青年司法書士協議会は、全国の青年司法書士約3,000名で構成され、市民の権利擁護及び法制度の発展に努め、もって社会正義の実現に寄与することを目的とする団体であり、日頃より多重債務問題の抜本的解決に取り組み、多重債務被害の撲滅を目指して被害者救済活動をしている立場から、平成21年5月8日に公表された「貸金業者向けの総合的な監督指針」の一部改正(案)(以下、「監督指針案」という。)について、次のとおり意見を提出する。


■ 趣 旨 ■

(1)登録を更新せず、新規貸付をしない回収業務のみを行っている元登録貸金業者(みなし貸金業者)に対しても、監督の強化が必要である。
(2)管理回収業に関する特別措置法(サービーサー法)18条5項において、利息制限法に定める制限額を超える利息・賠償金の支払いの約定がなされている債権について、利息制限法の制限額内に引き直さず履行の要求を行うことが禁止されていることからも、貸金業法においても明確な規制が必要である。
(3)債権(信託)譲渡については、債務者等に適切に対応するために、債権譲受人が承継する権利義務の全てについて、債務者等に明確になるよう規定を設ける必要がある。また、貸金業者が信託契約において特定しているバックアップサービサーを監督官庁に事前に報告すべきである。
(4)貸金業者の資産流動化のためになされた証券化債権額は、貸借対照表上、計上処理がなされ、対外的に営業貸付金残高については正確な数字が公表される必要がある。


■ 理 由 ■

(1)貸金業法の改正により参入条件が強化され、改正時に比して多くの業者の廃業が見込まれているが、それに伴い今後ますます、廃業やそれに伴う債権譲渡が増加すると見込まれているところである。貸金業の登録を更新せずに、貸付業務を行わず、回収業務のみを行う元登録貸金業者(みなし貸金業者)が増加しており、今後も回収業務や債権譲渡等について適切な監督を強化する必要がある。

(2)平成10年に制定されたサービサー(債権管理回収会社)につき制定された「債権管理回収業に関する特別措置法」は、制定当初は譲渡の対象とされていなかった利息制限法を超過する貸し金債権について、平成13年同法改正にあたって制限超過貸付債権の譲渡それ自体は認められることとなったが、法18条5項に「債務者等に対し、当該制限額を超える利息又は損害金を要求してはならない」との制限を設けている。取引当初からの利息制限法による引き直し計算を経て、なお残った法的に有効な債務に関してのみ行う以外には、債権譲渡は許されない。
   
 しかしながら貸金業法改正後も貸金業法自体には譲渡時に過払となっている債権における譲渡規制等の規定はない。 管理回収業に関する特別措置法(サービーサー法)18条5項において、利息制限法に定める制限額を超える利息・賠償金の支払いの約定がなされている債権について、利息制限法の制限額内に引き直さず履行の要求を行うことが禁止されていることからも、貸金業法においても明確な規制が必要である。
   
 したがって、「貸し手と借り手の間で債権の存在や債権の金額、残元本の金額について認識が一致していないものや債務者において支払いを遅延し回収困難にあるものなど、通常の状態では回収できない、いわゆる不良化した『事件性』のある債権について、他人から委託または譲渡を受けて、管理又は回収を業として行う場合には、弁護士法や債権管理回収業に関する特別措置法に抵触するおそれがあることに留意するとともに、債権管理回収業に関する特別措置法(サービーサー法)18条5項において、利息制限法に定める制限額を超える利息・賠償金の支払いの約定がなされている債権について、利息制限法の制限額内に引き直さず履行の要求を行うことが禁止されていることに留意し、引き直し後の残債権額が0円以下のものが含まれないように留意しなければならない」(日本貸金業協会自主規制規則79条参照)との自主規制だけではなく、明確に譲り受け債権について利息制限法の制限額内に引き直さず履行の要求を行うことを禁止し、引き直し後の残債権額が0円以下のものが含まれないようにしなければならない旨の監督指針を盛り込むべきである

(3)貸金業者の営業貸付債権の証券化に伴い、信託譲渡契約が多く利用されているが、譲受人である受託者(信託銀行等)からの法24条第2項に基づく債権譲渡通知には、資産流動化のために利用されていること、バックアップサービサーを特定しているか等、債務者等に対し、明確に表示されるべきであり、また、破綻した貸金業者から譲渡されていた債権が遡及して解除されることは債務者を混乱させるため禁止されるべきである。昨年民事再生手続きを行った株式会社アエルのケースでは、JPモルガン信託銀行との譲渡債権が株式会社アエルへ戻された債権と別会社であるエヌシーキャピタル株式会社へ譲渡されたり、バックアップサービサーはネットカード株式会社であったりと、債務者が混乱した。また、同じく破綻した株式会社SFCGの債権についても日本振興銀行へ譲渡された債権が遡及して解除された通知が債務者等に送付され、混乱と不安に陥った。このような混乱を防止し、債務者等の保護のための明確な規定を要求すべきである。

(4)貸金業者の営業貸付金は、資産流動化を利用した資金調達のため、貸借対照表上の貸付残高と異なる事が多い。オフバランス化された営業貸付金残高については、対外的に正確な数字が公表されるべきである。

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