組織概要
第3 ADRの種類
1.ADRの三つの考え方
ADR~第三者(調停人)が入った話し合いによる解決~といっても、その考え方の違いにより次の3つの方法があります。
2.評価型
調停人が法律専門家である場合に、法的な判断を重視するやり方です。裁判のやり方に近いものです。
当事者から出された様々な事実の中から、法律判断に必要かどうかということを判断基準として、これにあてはまる事実を抜き出します。その上で、言い分が食い違っている所を探り出し、争点を明確にして、調停人が証拠や法律判断によっておおまかな妥結点を探ります。その結果を踏まえて調停人が当事者を誘導したり、説得したりして当事者の納得する解決に導こうとするものです。

3.自主交渉援助型
調停人が法律専門家である場合もそうでない場合にも共通し、当事者自身が争いを解決する能力を引き出し、当事者自身による自律的な解決をサポートするやり方です。

調停人は、当事者の話を聴く姿勢を大事にして、その話の中から、当事者がこだわっている事実を見つけ出します。更に、調停人は当事者の本音を聞き出し、その話の中から以下のような分析を行います
- この問題に対する「課題」は何か?
- 一方が他方に対して要求していることは何か?
- 当事者の利害は何か?
つまり、当事者の話の中から、争点・主張を見つけ出し、その背後にある当事者の利益・価値を分析し、当事者が本当に望んでいることは何か?を探って検討していく流れをたどります。そして、最終的には当事者双方が納得する解決を当事者自身から出してもらおうとするものです。
4.妥協要請型
調停人が、法律専門家でない場合が多く、その調停人の個人的な権威や威厳などに基づいて、当事者双方に妥協や譲歩を求めて解決を導こうとするものです。「マアマア調停」と呼ばれることもあります。
双方に対して影響力のある調停人が当事者双方の話を聞いて、その中間的なところで手を打ちませんか?と調停人の意見に基づいて両者に妥協してもらうことを求めるようなやり方です。
2の評価型とは違い、調停人はその問題について証拠を求めたり事実の検証をしません。また、3の自主交渉援助型のように調停人が当事者の思いや気持ちを汲み取り、当事者をサポートしながら解決策を導くものとも違います。
5.まとめ
| 評価型 | 妥協要請型 | 自主交渉援助型 | |
|---|---|---|---|
| 調停人の役割 | 考えられる法的アドバイスの提供 | 要求の最上限、最下限を定め、妥協を導く | 話し合いのプロセスを管理する |
| 目指すもの | 裁判と同様の結論 | 当事者の主張の中間的解決 | ・当事者の本音を満足させる ・法的判断による解決をしない |
| 調停人の介入 | 結論への強い介入 | 介入は少ない | 話し合いのプロセスへの介入 |
| 調停人のタイプ | 法律専門家 | 名士 | ・話し合いのプロセスを管理する ・知識、技術を持った人 |
| 長所 | 専門家の判断による判決的解決 | 威信による解決 | ・自主的解決による関係性の維持 ・当事者が納得する解決が図れる |
| 短所 | 当事者は敵対関係のまま | 紛争の本質に踏み込めない | ・解決まで忍耐を要する ・ 結果として解決できない場合がある |
<参考文献>
- ADR理論と実践 和田仁孝編(有斐閣)
- ADR解決事例精選77 第二東京弁護士会仲裁センター運営委員会編著(第一法規株式会社)
- 司法書士ADR実践の手引き 日本司法書士会連合会ADR対策部編集(新日本法規出版株式会社)
- (社)日本商事仲裁協会「調停人養成教材」基礎編






